妄想の地図帳
 「ひぐらしのなく頃に」が好きなおっさんが、二次創作やオリジナル物語を書いたりするとかしないとか。
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『 それぞれの絆 第三節 「竜宮 レナ ②」 』
 皆様こんばんわ。
『 それぞれの絆 第三節 「竜宮 レナ ②」 』をアップしました。
圭一と魅音、二人の間柄が変化した事を知って衝撃を受けるレナ。
そのレナを、お泊りに誘う魅音。
さて、どの様な展開になりますか。

今回、かるとさんから、すっごい素敵なレナのイラストを頂きました!!
イラスト的に、絆第一節かな、とも思いましたが、この切ない表情のレナは、レナ主役のお話で使わないと! と思い、今回のお話で使わせて頂きました!
かるとさん、超絶サンキュウ!!!!!!

お時間御座いましたら、お付き合い下さいませ。
それでは、どうぞ!



『 それぞれの絆 第三節 「竜宮 レナ ②」 』



かるとさん作 『レナ』






 突然の魅ぃちゃんの提案に、私は動揺した。
 そんな私にはお構い無しで、魅ぃちゃんは返事も聞かずに沁子さんに友達が泊まるからと伝え、私の家へ電話連絡を入れ、あれよあれよと言う間に話を進めてしまった。
「み、魅ぃちゃん? え、えとえと……わ、私泊まる用意なんて何にもしてないし……」
「気にしない気にしない! そんなのうちで準備できるからさ」
「で、でも私! ……どっ、どうしていいのか……」
「良いから良いから! レナはそこで待ってな。お腹空いたでしょ? あたし沁子さんと一緒に夕飯作ってくるから!」
「み、魅ぃちゃん?!」
 私の呼びかけにウィンクを一つ飛ばして、魅ぃちゃんは出て行ってしまった。

 あの明るい表情は……嘘。

 魅ぃちゃんの考えている事がさっぱり分からない……。
 自分の気持ちも……分からなかった。泊まり支度云々ではなく、本当にどうして良いのか分からない。
 魅ぃちゃんに昨日の出来事を伝えられて、魅ぃちゃんと圭一君の間に私の居場所が無くなって……悲しくて、辛くて、さみしくて。
 それで……
 それで……魅ぃちゃんが…………憎らしいッテ……ソウ、思イ初メテイル……?
 なのに……

 無くしてしまった心の歯車の代わりに、黒い歯車が、カチリカチリと、少しずつ回転を合わせようとする。
 それを必死で止めようとする私と、その影でこっそりと黒い歯車の調整をしている私が居た。
 お母――あの人が居なくなった時と、同じ……? 私は、悲しくて辛い事があると、それを怒りで覆う。
 怒りを自分にも他人にも吐き出して、何もかもを傷つけて、悲しみや辛さから逃げてしまう。
 そんな自分が嫌で、必死で心を押さえつけようと俯いていると、突然目の前にホカホカのご飯が飛び出してきた。
「レーナ! ほらっ。とりあえずご飯。ご飯食べよ!」
 見上げると、何時の間にか魅ぃちゃんが帰って来ていた。
テーブルの上には美味しそうな夕飯の準備が出来上がっている。……全然気が付かなかった……。
「はい、これレナのお箸ね。――それじゃ、いただきます!」
「い、いただきます」
 魅ぃちゃんは元気にお夕飯を食べ始めた。
 私は――とてもそんな気分には……なれなかった。
 お夕飯はあったかで、ホカホカの玉子焼きやハンバーグは、とても美味しそうではあった。
 でも、そのどれもが暖かさで溢れていればいるほど、今の私には……受け入れられそうにも無い。

「レナさ……。何で、あたしの所に来てくれたの……?」
「え……?」
 魅ぃちゃんがお箸を止めて、私に問いかけて来た。そんなの、昨日の事を聞くために決まってる。
 自分でそう言ったくせに。
 少し……イラついた。
「それは、だから……昨日の事が知りたくて……」
「うん。それはそうなんだけど、さ。なんで……なんで圭ちゃんじゃなくて、私に会いに来てくれたのかな……って」
「え……それ……は……」
「レナは鋭いからさ。あたし達が二人して学校を休んだ時点で、大よそ察しが付いていたでしょ……?」
「…………」
「で、ね。レナはさ……レナもやっぱり圭ちゃんに好意を持っていたと……思うんだ」
 ……そうだと思う気持ちは、ある。……でも、その気持ちを素直に自分で受け入れられない今の私は、こう思った。


 『……だから……何?』


「私がレナだったら……私には会いたくない。ホントなら誰にも会いたくないけど、それでも事実を確かめたいなら……私なら、圭ちゃんに会いに行く」
 ……そうなんだろうか? でも私は魅ぃちゃんに会いに行く事しか頭に浮かばなかった。逆に……圭一君にはこういう事は聞きたくないと思った。
「どうして……あたしに会いに来てくれたのかな……」
「……そんなの……分かんないよ」
 食欲は無かったけれど、玉子焼きをお箸で摘む。ふっくらした感触が伝わってきた。
 暖かい物に触れる度に、私の心は尖っていった。
 何もかもが、私を哀れんでいるようで、同情しているようで……酷くイライラした。
 何で? 分からない。ワカラナイ。
「私は……私には、圭一君も魅ぃちゃんも大事で……どっちかを選ぶなんて出来ないよ……。どちらかを選んで、どちらかを切り捨てるなんて……魅ぃちゃんみたいには……っ出来ない……!」
 お箸にギュウと力を入れた。掴んでいた玉子焼きは真っ二つに割れて、お皿の上に転がり落ちた。
「っ! ……レナ……」

 ――――酷い事を言った。謝るべきだ。でも……黒い歯車が噛み合い始めている。
 自分でも止められない。
「私は確かに、魅ぃちゃんが圭一君と上手く行けば良いなって思って、協力したよ? ……魅ぃちゃんに笑顔で居て欲しかったから……それが、私が笑顔で、幸せで居られる場所を守る為だと思ったから。……なのに全然違うよ!! ねえなんで?! 私どこで間違ったのかな? ねぇ魅ぃちゃんっ!」
 二つに裂かれた玉子焼きの片割れを、逆手に持ったお箸で串刺しにする。
 悲しそうな、戸惑ったような顔で私を見つめる魅ぃちゃんに、加虐心が煽られた。
「私が圭一君に好意があるって? 好きだって事なのかな?! へーそうなんだ知らなかったよ! じゃあ魅ぃちゃんは、それを知ってて私に圭一君との事を相談してたんだ? ……ずっるいよね。そうやって牽制もしてたって訳だ。意外と裏手の駆け引きが上手なんだねぇ魅ぃちゃんは! さすが園崎家次期党首様は百戦錬磨だね?!」
「――――そうだね……あたし、ずるい事してた……許してなんて……言わないよ」
「あれあれ認めちゃうんだ。なあに? もう目的は達成したから私の役目は終わりって事? ああ、そっかあ。じゃあ今日は労いの晩餐なんだねぇ? わあいレナ頑張ったなー。よーし今日は一杯食べちゃうぞー……なんて言えば良いわけ?! はっ!」

 諸刃の刃が、魅ぃちゃんと私を容赦なく傷付けていく。びっしりと棘の生えたボールを、一方的に投げつける。
 投げ付けられた魅ぃちゃんは傷付き、血を流す。ボールを投げる私の手も、同じボールで傷付いていった。
 心の奥底で「止めて!」と叫ぶ私の声は掻き消され、黒い歯車が完全にはまりかけている。
 黒い瘴気は濃さを増す。
 憎しみ自己嫌悪怒り自虐孤独感……色取り取りの、真っ黒な負の感情が私の心臓を締め上げて止まらない……。
 俯き肩を震わせる魅ぃちゃんの姿を見てもそれは止められず、むしろ加虐的な心に拍車が掛かる。

……誰か……止め……て。

 ――その時、変化が起きた。
 魅ぃちゃんの表情が一変したかと思うと、ハンバーグにダンッ!とお箸を突き刺し、叫んだのだ。

「甘ったれてんじゃないよ! はっ! 利用されただってぇ? 泣き言も程々にして欲しいねぇ。いつもあたしゃ、あんた達に教えてやってんじゃん? 『狙うは一位のみ!』ってねえ。あんたあれ、お遊び上の事だと思ってたのかい? はぁーっ。甘い……甘っちょろいねえ! だから欲しい物の一つも手に入れられやしないのさ! 情けない!」
「……なっ……?」
 予期せぬ突然の反撃にうろたえた。まさか棘の付いたボールを投げ返されるなんて、夢にも思っていなかった。
「『なっ』じゃないわよ。あんたの事言ってんでしょうが。あんたはいつだって良い子ちゃん過ぎるんだよ。何? 自分の方が女の子らしくて可愛いから、少々後ろに引いてても負けないと思ってた訳? 余裕かまして負けてりゃ世話無いよ!」
「はぁ?! 何言ってんの魅ぃちゃん? だからいつ私が圭一君を好きだなんて言った? いつ言った? ねぇいつ言ったかなっ! 言ってないよね。勝手に決めつけないでよっ!!」
「かーっ! 空々しい。じゃああんた、圭ちゃんの事はなんとも思ってなかったって、言い切れる訳?」
「そ、それは……イ、言い切れっりゅ」
「噛んでんじゃないの! 明らかに動揺しといてそれは無いよねえ? えぇ?」
「――だっ、だから何?! 自分でも良く分からない事ってあるでしょ?! そんな事も無いって言うなら、魅ぃちゃんはよっっっぽど単純な人なんだねえ!!」
「あんたに悲劇のヒロイン気取ってられてたんじゃあねえ、あたしゃ気持ちよく圭ちゃんと楽しく過ごせないのさ! ここらではっきりさせとこうじゃないのさ! 色々とさあ!!」
「なっ?! ……っにを自分勝手な事ばっかり並べてぇ! 魅ぃちゃんは自分さえ良ければそれで良いの?! そんな酷い人だとは思ってなかったよ。あーぁがっかり、幻滅だね!!」
「あーあー、勝手に幻滅でも何でもしてなさいな。あたしゃそういう女だよ。でぇもねぇ? 自分の幸せもろくに考えられないで皆の幸せーとか行って夢描いて、自分が不幸になったと思い込むや否や途中で投げ出すあんたよか、よっぽどましだと思いますけどねっ!」
「んなっ! ――なぁんですってええええぇえっ!!」

 私達はお互い、玉子焼きとハンバーグにお箸を突き立てたまま、闘犬のように机を挟んで罵り合った。
 恥も外聞もあったもんじゃなかった。お互いの黒い部分が曝け出されて垂れ流し状態。
 とても当事者以外には聞かせられない、罵詈雑言の嵐。容赦無し。
 今や完全に同じ土俵でがっぷり四つに組んでの真剣勝負!
 どす黒い炎は、いつの間にか真っ赤に激しく過激に燃え上がっていた。
 そして……認めたくないけれど……あろう事か、私は魅ぃちゃんに押され気味ではないか!

「――影のあるヒロインでも気取ってた訳? 冗談じゃないわよ。今まで何があったか知らないけどねぇ、あたしだって負けない位どす黒いモン持ってるってんだよ! あんま甘く見ないでくれる?」
「~~~~~ッ! 私の事なんか何も知らないくせにっ。知らないくせに……知った風な口聞かないでよ! バーカ!」
「バーカって……ぷっ。あんた小学生? 沙都子だってもうちょっとましな嫌味言えるよ?」
「……ぐっ! べ、別に悪口コンテストしてる訳じゃないでしょう?! 私は魅ぃちゃんと違って、根はお淑やかですからっ。悪口のレパートリーじゃとても敵わないね!」
「へへっそりゃどうも! でもね確かにあんたの言う通りさ。あたしゃあんたの事、分かん無い事だらけだよ。だってあんたが隠してばっかりだからね! 人の事はやたら鋭く察するくせにさ、何にも言わずに笑ってばっか。……隠し事ばっかりで、分かるわけ無いでしょっ?!」
「あ、あたしは別に隠し事なんて――」
「してるよっ!!」
「!! っみ、魅ぃちゃんだってしてるでしょ! そんなの誰だって、一つや二つあるよっ」
「あ~ぁありますとも。だ・か・ら言ってんでしょうが。ここらで色々はっきりさせようってさあ!」
「そっ……でっ…………う」

 ……魅ぃちゃんの淀みない攻勢に、ついに私は言葉に詰まってしまった。
 自慢じゃないけど、私は口喧嘩なら圭一君にだって負けない自信があった。
 ましてや、すぐタジタジになる魅ぃちゃんになんて、負ける要素さえ見当たらないと思ってたのに……。
 うううぅーっ、悔しい悔しい! こんなに悔しいのって、部活でも味わった事無いんじゃないかな? かなっ!?
 う~ん、う~ん、どうやってやっつけてやろうかな? やろうかなあっ?!
 あーもう、こんな時に限って、魅ぃちゃんの好きな事とか、楽しかった事とかしか思い出さないなんて、どうなってるの?!

「……くっくっく。いい顔になったじゃないのさ?」
「は? いい顔? 何言ってんのかな。おかしな事言わないで欲しいよ」
「可笑しいと思ってるのはあんたでしょ? ……あんた今笑ってんじゃん」
「え? あ……」
 言われて始めて気が付いた。あんな酷い大喧嘩をしていたと言うのに、いつの間にか私はニヤリと笑っているじゃないか。
「悲劇のヒロインやられてるよか、そっちの方が百倍ましだよ。あっはっはっは! ……おっと、違う違う。――お淑やかが聞いてあきれるねえ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 私はそんな」
 お腹に力を入れて大きな声を出した。そしたら、それをかき消すかのように、

 グウウゥ~~~ッ

 大きな音がした。お腹が鳴った…………私のだ……。
「……くっ! ……あーーっはっはっはっはっハッハ! 参った参った!! やるじゃないのさレナ。降参降参! おじさんの負けだよー。あっはっはっは!」
「こっ! 降参とか何勝手に言ってんの?! し、仕方ないでしょっ。お腹空いたらお腹が鳴るのなんて自然現象じゃない! そんなに可笑しい事かな? かなっ?!」
 ううぅーーーーっ! カッコ悪いよぉ! なんてタイミングで鳴るのかなぁ、私のお腹は!
 真っ赤になって反論する私の前に、魅ぃちゃんが左手を突き出してそれを制した。
「待った待った。確かにレナの言う通りだよ。腹が減っては戦はできぬ……ここは一旦休戦と行こうじゃない」
「休……戦?」
「そ、休戦。まずは腹ごしらえしようじゃん。――それ……食べなよ」
 魅ぃちゃんが私の手元を指差している。その先にあるのは、串刺しにされた可哀想な玉子焼きだった。
「食欲が湧いて来たって事はさ、さっきよか幾分ましな気分になって来たって事なんじゃない? 少なくとも元気にはなったね」
「……別に、こんな冷め切ったの食べたく無いもん……」
「もう、一時休戦って言ったじゃん。……あぁ、意地張る必要ないよ。それ沁子さんが作ったんだから。別にあたしが作ったのじゃなかったら平気でしょ? ん?」
「なら……いただきます……」
 どこの幼稚園児が拗ねてるんだろう……我ながら次元の低い拗ねっぷりだ。
 でも、確かに少し元気にはなったかも……。お腹の中の黒い感情をぶちまけたから、単純にスッキリしたんだろうな。
 そんな事を考えながら冷めてしまった玉子焼きをパクッと食べた。
 ――あれ? ……これって……。
 味に覚えがあった。……この玉子焼きの味には心当たりがある。
 ああっ、だ、騙された!
 お箸を咥えたままギロッと魅ぃちゃんを睨む。案の定、魅ぃちゃんは、にやぁ~っと笑っていた。
「へっへっへ、流石レナ。やっぱ分かるぅ? その通り! 実はそれ、あたしが作ったた・ま・ご・や・き」
 私が教えてあげた玉子焼きの味だった。
 ……してやったり! って顔で魅ぃちゃんが笑ってる。
「魅ぃちゃん! もう、ずるいよっ!」
「にゃはははっ。ゴメンゴメン」
 魅ぃちゃんはすっかり元に戻っていた。私はと言うと……何であんなに怒っていたのか、正直良く分からなくなってきていた。
 もうそんなに怒ってもいなかったし、押し潰されそうにもなっていなかった。
 でも……ほら、喧嘩した時って、相手に先に機嫌直されてタイミングを失うと、元に戻れなくなったりするよね……? バツが悪いって言うか……はぅ。
「…………魅ぃちゃん、キライ」
「まーまー、そう言わないで。――で、どう? レナ直伝『冷めても美味しい玉子焼き』 ちゃんと出来てたでしょ?」
「うー…………出来てる……」
 そう言うと魅ぃちゃんは、パアっと笑顔の華を咲かせた。
 その笑顔が私に向けられていると思うと、何だか恥ずかしくなって目を逸らしてしまった。

 何で? さっきまであんなに大きな声で喧嘩してたのに、何でそんな風に魅ぃちゃんは笑えるのかな……?
 半分に割られてしまったもう一つの玉子焼きを摘み、口に放り込む。
 ――本当は、もう分かってる。
 魅ぃちゃんは本気で喧嘩なんかしていなかったって事、分かってる。
 じゃあ何であんな言い合いをしたのかって? それも分かってる。魅ぃちゃんがさっきから言ってるよね。
 『食欲が湧いて来たって事はさ、さっきよか幾分ましな気分になって来たって事なんじゃない? 少なくとも元気にはなったね』
 『悲劇のヒロインやられてるよか、そっちの方が百倍ましだよ。あっはっはっは!』
 ……つまりはそう言う事。
 どんどん落ち込んで行っていた私を、元気にしようと思ってやった事。
 私が独りで、ズルズルとドロドロと溜め込んでいる物を吐き出させて、元気にさせようと思ってやった事なんだよね……?
 モグモグとご飯を食べている魅ぃちゃんと、不意に目が合った。魅ぃちゃんはまたニッと笑うと、私に切り分けたハンバーグの一欠片を差し出してきた。

「はい、今度はハンバーグ! これもレナ直伝の味付けなんだけどさ、こっちはちょっと自信無いんだよね。ちょっと食べて採点してよ、レナ」
「え? う……うん」
「はい、あーんして」
「えぇ?! い、いいよ自分で食べるよぅ!」
「はいはい却下ー。は~い、あーんして」
「は、はうぅ~~」
 あ~んと口を開けて、フォークに刺されて差し出されたハンバーグにパクッとかぶりついた。
 フォークを咥えたまんまで、もっぎゅもっぎゅと咀嚼する。
「どう? 結構いける?」
「もぎゅ…………ん……」
 ハンバーグをもぎゅもぎゅする度に、色々な感情が込み上げて来た。答えなんて必要としてない、さらけ出したい言葉が、溢れてくる。
「…………ちょっとね…………しょっぱい……かな」
 ハンバーグの味は合格点だったかな。
 でも、頬を伝ってきたスパイスが余計な味付けをして、しょっぱくなったから減点だね……。
「……レナ…………」
「魅ぃちゃん……あのね、もうちょっとだけ……もうちょっとだけ、さらけ出しちゃっても…………いいかな? ……かな」
 魅ぃちゃんは優しい顔で微笑むと、私の横に座って肩を寄せた。
 その後、私の頭を抱えて……そっと抱き寄せて言った。
「いちいち断る仲じゃないよ? レナ」

「うっ……ううぅ! ――うわあぁあああぁぁん!! あああぁあぁぁあああん!」

 堰を切った様に、感情が爆発した。喧嘩していた時とは違う、攻撃が目的の爆発じゃなくて……何と言うか、もっと……そう、さっきと一緒。小さな子供が拗ねているような、感情の爆発だった。
「いやだよぅ。私、独りになるのは嫌だよぅ。ひぐっ……魅ぃちゃんと一緒が良いの。圭一君と一緒が良いよぅ! ……どうして? どうして皆、居なくなっちゃうの?! っぅく、茨城の友達もね、そうだった……。いつまでも友達だと思ってたのに、突然……たった一日の出来事で、皆居なく……なって……っ。ううっ。ううぅっ! 魅ぃちゃんも、圭一君も、皆と一緒なの?! レナが要らない子になったら、居なくなっちゃうのかな? ううぅううううっ!」
「レナ……大丈夫だよ。誰も居なくなんて、ならないよ。あたしも圭ちゃんも……何も変わらないよ。これからも――」
「あの人も居なくなったよ?! あの人も、お父さん以外の人と一緒になって、居なくなったっ!! 嫌だ! いやだいやだ!! 魅ぃちゃんが居なくなっちゃうなんてイヤ! ……独りにしないで……レナを独りにしないでえぇ……うわあああああああああああっ!!」

 困らせていると思いながらも、止められなかった。
 独りにしないでと泣き喚きながら、魅ぃちゃんにしがみついてた。
 魅ぃちゃんは「一緒に居るよ」「居なくならないよ」と声を掛けながら、ずっと私を抱いてくれていた。


 ――どの位泣き続けて居たのかな……。いつの間にか自分の泣き声じゃなくて、魅ぃちゃんの心音が聞こえていた。
 頭を撫でられる感触に、ハッと目を覚ました。見上げると魅ぃちゃんの笑顔があった。
「はぅ……? あれ……わ、私……?」
「うん、寝ちゃってた……スゥスゥ寝息を立ててね。それにしても、レナは寝てても可愛いね~。羨ましいよ。……あたしなんか寝顔、ヤバイらしいからね。涎食うし……にゃはは」
「は、はわわわわっ。も、もう、魅ぃちゃあぁん!」
 私はパッと魅ぃちゃんから離れて、慌てて目と唇の下をこすった。……良かった。ほんとに涎は垂れてなかったみたい……。ちょっと安心。
「み、魅ぃちゃん、私、顔……変?」
「ん? 誰も見て無いんだから気にしなくていいじゃん?」
「は、はうぅ。じゃあやっぱり変なんだぁ……」
「え? いやいや可愛いよ可愛いって。あははははっ。でもちょっと目の下とか真っ赤だったり、アホ毛が一杯出来てたりしてるけどねー」
「はうぅ、魅ぃちゃんの意地悪」
 慌てて髪の毛を両手で撫でると……はう、確かに一杯ピンピン跳ねてるよぅ……。寝癖が出来る位寝てたのかな? 時計を見てみると、九時を回っていた。
 ……2時間近く寝てたの……?
 その間ずっと、一緒に居てくれたんだね……魅ぃちゃん。

「ははは! よし、じゃあレナ。お風呂入ろっか、お風呂! 顔も洗いたいし、寝癖も直したいでしょ?」
「あ、うん入りたいな、入りたいな! ……って、魅ぃちゃん『入ろっか』……って、もしかして……一緒に?」
「あったり前じゃん! こんなチャンスそうそう無いんだからっ。レナの若々しい肉体を隅々まで堪能して……ぐひゃひゃひゃひゃひゃっ!」
「え、えええぇぇえ?!」
「はいはい却下却下ー。ほいっ、じゃいくよレナー」
「まだ何も言って無いぃーっ! あわわわ魅ぃちゃん待って待って、引っ張らないで魅ぃちゃあぁ~ん……――」
 わたわたともつれる足で魅ぃちゃんに引っ張られていく私。
 何だか今日は、魅ぃちゃんに振り回されっぱなしだなぁ。
 ……お互い様かな……?


― 続く ―

-----------------------------------------------------

ここまでお付き合い頂き、ありがとうございます。
それぞれの絆も、次回で最終回です。
残り一話。どうぞお付き合い下さいませ。
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テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

喧嘩シーンは何故かノリノリで読んでしまうw
ああ~、しかし萌えるなぁこの二人はw
あ~んするとことか最高すぎるんですがw

次は入浴シーンですね!
大幅加筆修正に期待します!www
【2008/05/02 23:53】 URL | だいぶつ #gIYQI5Sw [ 編集]


>だいぶつさん
本気でぶつかり合って、仲良くなっていって欲しいなと思って、ガチンコタイマン勝負して貰いましたw
だいぶつさんには見事にオリスク作ってもらえて、ホント感謝してるよ!

入浴シーンは、ほど良く加筆しておきます。本末転倒しない程度に、ねw
【2008/05/04 11:55】 URL | cvwith #- [ 編集]


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プロフィール

cvwith

Author:cvwith
岡山に生息。
カレーは混ぜてから食べる派です。
「ひぐらしのなく頃に」の二次創作を中心に、ショートストーリー(SS)を書いています。
「うみねこ」もちらほらとやってます。
いずれオリジナルも書いてみたいと野望を持っております。

メアド : kdksf1@mail.goo.ne.jp
「@」を半角にして、ご使用ください。
感想・ご意見・イラストなど随時激烈に大歓迎中です!



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