妄想の地図帳
 「ひぐらしのなく頃に」が好きなおっさんが、二次創作やオリジナル物語を書いたりするとかしないとか。
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『 それぞれの絆 第三節 「竜宮 レナ ①」 』
 皆様こんにちわ。
『 それぞれの絆 第三節 「竜宮 レナ ①」 』 アップしました。
第二節で、圭一と魅音はお互いの絆を深めました。
その、翌日のお話となります。
今回のお話の主人公は、竜宮レナ。そして園崎魅音。
今回も含めて、後三話。お時間御座いましたら、お付き合い下さいませ。
それでは、どうぞ。

 ― あらすじ ―

 夕食も終った頃、圭一君から電話が掛かってきた。今日の帰り道で、そんなつもりは無かったのに魅ぃちゃんを傷つけてしまったと言うのだ。
 相談に乗ってあげていると、その時の魅ぃちゃんの気持ちが伝わって来る様だった。
 明日を待たずに、今日ちゃんと謝るように、と圭一君を促した。
「ああ――いや、電話は止めだ。俺、行ってくるよあいつの所。……有難うな、レナ」
 圭一君の感謝の言葉が……何故だろう? ひどく――胸に突き刺さった。
 私は魅ぃちゃんの喜ぶ顔が見れれば幸せ。そう……思っている――筈なのに……心がキシキシと軋む。
 何も語らなくなった、無機質な発信音を響かせる受話器を置くと、瞳から一筋、心が零れた――――

-----------------------------------------------------

『 それぞれの絆 第三節 「竜宮 レナ ①」 』 

―― 早朝 ――

「はうぅ~。やっぱりかあいいんだよゥ。ほら見て見て魅ぃちゃん。三つ編み! 三つ編み!!」
「うわっ。何か時間掛かってると思ったらレナあんた、なに人の髪で遊んでんのっ」
「ほらでも魅ぃちゃんかあいぃよぅ。はう~~。いいないいな。レナも髪伸ばそうかなあ」
「何馬鹿な事言ってんの。ほら解くよ。遅刻しちゃうでしょ」
「あっ。あっ。待って待って魅ぃちゃん、もう一つだけ、もう一つだけ!」
「わわ、何よレナ、ど、どうするの?」
 三つ編みを解こうとする魅ぃちゃんの手をペシッと撃墜して、私は手際よく三つ編みをクルクルと巻くと、つむじのちょっと下辺りで纏めてヘアピンで留めてみた。
「あ……」
 鏡の中の魅ぃちゃんが、小さな驚きの声を上げる。
「ほらほらやっぱり! こうしたら魅ぃちゃんのお母さんにそっくりなんだよ。……は~う~。魅ぃちゃんがかっこ良くて綺麗なんだよぅ~。お持ち帰りたいぃ~~」
「ほんとだそっくりだねぇ……へえぇ、こりゃ知らなかったなぁ」
「そうだ魅ぃちゃんっ。今日、この髪型で学校に行こうよ! 圭一君はね、きっと照れちゃって魅ぃちゃんの事まともに見れないんだよ? それでもって、照れてモジモジしてる二人をレナがお持ち帰り~っ! はうっ☆」
「なっ、何言ってんのレナっ! そんなの駄目ダメっ。ほ、ほらっレナも早く準備する!」
「あっ。……あーあ、ほどいちゃったぁ……。はぅ~、かあいい三つ編み、もったいないんだよぅ……」
 頬を朱に染め、アタフタと髪を解く魅ぃちゃんが可愛かった。
 離れてしまうと思った、お互いの気持ち。でも心は、以前よりも近く、深く繋がっていた。

 昨日までの孤独感が嘘のよう。
 昨日までの私は独り……寂しかった――

-----------------------------------------------------

 ―― 昨日 ――

 相談の電話があった翌朝、圭一君を迎えに行くと「今日は体調が悪いから、お休みさせるわね」と圭一君のお母様に伝えられた。
 ……昨日、魅ぃちゃんの家に謝りに行って、遅くなったんだろうか?
 それで寝不足で起きられないのかな? うん、きっと、そう。
 余り詮索しないようにと思い、軽く挨拶をして出て行こうとする私に、おば様が思い切ったように声を掛けてきた。
「えー……っと。……レナちゃんは何か、圭一から聞いてる?」
「え? えと、何を、ですか?」
「あっ……うぅん! 何でもないの! 何も聞いてないのならそれで良いのよ。ごめんね、朝からおかしな事言って」
 おば様は不安そう……という様子では無かった。
 どちらかと言うと、女学生が噂話に心を弾ませているような、そんな表情だった。
 興味本位で『何か』を私に聞きたいけれど、果たして聞いて良い事なのかどうか分からず、ちょっとカマを掛けてみたら、余り良い反応が帰ってこなかった。だから聞くのを止めた――そんな感じだった。
「それじゃあ圭一君に、お大事にって伝えておいて下さい。おば様」
「わかったわ。じゃあ気を付けてね。レナちゃん」
「はーい。行ってきまーす!」
 できるだけ元気に挨拶をして玄関を出たつもり。上手く出来たかな? かな……。
 圭一君がこの様子だと、一緒に居た筈の魅ぃちゃんも、寝不足で起きてないかも知れないな。

『うん、きっと魅ぃちゃんは圭一君と仲直りして、良い気持ちでグッスリ寝ちゃってるから、今日はお休みだね、だね』
『魅ぃちゃんの寝顔、きっとかぁいいんだよ~? はーうーっ』

  ……――。
 いつもの元気なレナになあれ! と、自分で自分に呪文を掛けるけれど、どこかの歯車が噛み合わない。
 小さな、だけど大切な歯車が、一つ欠けてしまった……?
 カラカラとどこかが空回りして、空っぽの心にまで栄養が届かない。
 それでも足は機械的に動いて、いつの間にか水車小屋にたどり着いていた。

 ぼー……っと、水車小屋に立たずんでいた。
 何も考えたくなかった。
 …………待ってても……魅ぃちゃんは、来ないよね。
 ……学校……行かなくちゃ。
 のそりと足を動かして学校に向けて歩き始めた。……体も思考も、とても重かった。
 良くない。この感覚は、良くない……。
 独りで居ると、どんどんネガティブな方向へと沈んでいってしまう。
 早く学校に行って、梨花ちゃんや沙都子ちゃんに元気を貰おう……。

 学校に着いてみると、やっぱり魅ぃちゃんの姿は無かった。
 委員長の魅ぃちゃんが居ないので、代理でHRの挨拶をする。
「きりーつ。きょーつけー。 礼」
 ガタンガタンと椅子を引き摺る音がおさまり、皆が着席してから、知恵先生は朝の連絡事項を伝え始めた。
 圭一君と魅ぃちゃんは、二人とも風邪で体調不良の為お休みする、と今朝方学校に連絡があったそうだ。
「季節の変わり目で、昼夜の気温差が激しくなっています。皆さんも体調管理には十分に気をつけるように。いいですね?」
「「はーーい!」」
 皆が元気に返事をする。返事をしなかった私は、悪い子なのかな。
「まったく仕様が無いお二人ですわねぇ。圭一さんはともかく、部長である魅音さんまでダウンしてしまうなんて、不甲斐無い限りですわ!」
「みー。沙都子が魅ぃを『馬鹿』だと言っているのです」
「ふぇ? わ、わたくしはそんな事言っていませんでしてよ、梨花」
「馬鹿は風邪を引かない、とは昔からの口伝なのです。あうあう」
「わっ、わわわたくしはそんなつもりで言ったんじゃございませんわっ」
「お家でウンウン唸って苦しんでいる上に、沙都子に蔑まれて魅ぃはかわいそかわいそなのです。にぱー★」
「あぅ~。沙都子がとんだ意地悪さんなのですよ。僕はそんな子に育てた覚えは無いのです~」
「む、むぐぅ、今日の朝は私をダシにして楽しもうと言う魂胆ですわね? そうは行きませんわよ! 私にはレナさんと言う、強い味方がいるのですからねっ」
 急に沙都子ちゃんに腕を握られ、体がビクッと震えた。
 それを見て沙都子ちゃんが、驚いたようにキョトンとする。

「れ、レナさん……?」
「ぁ……あはは、ゴメン沙都子ちゃん。ちょっとボーッとしちゃってたね。何かな? かな?」
「……もしかして、レナさんも体調が悪いのでございますの?」
「あうぅ、そう言えば、ちょっと顔色が悪いのですよ」
「レナもウンウンでニャーニャーなのですか?」
 心配そうな瞳で、梨花ちゃんと羽入ちゃんが私の顔を覗き込む。
「そ、そんな事ないよっ。レナは元気元気! でもほらほら、もうすぐ授業が始まっちゃうよ? 騒ぎ過ぎると知恵先生のチョークが飛んできちゃうんだよ? だよ?」
 心配そうな三人に笑いかけて、何とかその場は誤魔化した。
 学校に来て、元気な妹達に囲まれていれば元気になれると思っていたけど……駄目だったみたい。
 心の受け皿に穴が空いていて、皆の元気を溜められない。
 何もかもが素通りしてしまい、何も頭に入らなかった。
 そんな気持ちの一日は、とてつもなく長いか、あっという間かの両極端なものだよね。今日は後者だった。
 いつの間にか太陽は元気を無くしつつあり、下校の時間になっていた。
 帰り支度を始める皆が二人のお見舞いに行こうと話を持ち掛けて来てくれた。

「ではどうします? お二人共のお見舞いに行きたいのは山々ですけれど、それでは遅くなってしまいますわよね?」
「二手に分かれましょうなのです。ボクと沙都子が圭一をお見舞いに行って、レナと羽入は魅ぃのお見舞いに行くというのはどうですか?」
「僕はそれで構わないのです。レナ、お見舞いと言えばシューです。まずはシューを手に入れるのです!」
「あははは。そうだね。じゃあ一回レナのお家に寄ろうか? おいしいシュークリームが――」
 そこまで言って、私は言葉を止めた。

 ――やっぱり、このままなんて駄目。こんな空っぽの気持ちのままで皆と一緒に居るなんて、おかしい。
 心が空っぽになる事の怖さなら、私が一番知っているじゃないか。
 ――魅ぃちゃんに会おう。会って話を聞かせて貰おう。
 そうしなければ、無くしてしまった心の歯車が何なのか、分からない。
 そうしなければ、心の受け皿に空いた穴の場所が、分からない。
 ―― 魅ぃちゃんに、会おう ――

「――ごめん皆。あのね、魅ぃちゃんの家には、レナ一人で行かせてくれないかな? かな?」
「それは構いませんけど……どうかなさいましたのレナさん?」
「あうぅ~。レナは僕と一緒が嫌なのですか? あうあうぅ」
「ち、違うよ羽入ちゃんっ。そんな事絶対に無いよ! ……でも、ゴメンね。ちょっと魅ぃちゃんと二人でお話したい事があるの。だから……お願い」
「……みぃ。では魅ぃのお見舞いはレナに任せるのです。シューはボク達でしっかりとお預かりするのです」
「ありがとう梨花ちゃん。ゴメンね羽入ちゃん……ごめんね、皆」
 私は皆に手を振り、教室を出た。

 下駄箱から取り出した靴を履き、トントンとつま先で地面を叩き履き直す。
「よし……。行こ、竜宮レナ」
 意を決して校舎を出て歩き出した。
 風の無い、ぬるい空気を伝って聞こえてくる遠くの車の音。
 それがひどく鮮明に聞こえたのは……何故だったろう。

-----------------------------------------------------

「はいどうぞ。レナは紅茶のほうが好きだったよね?」
「ありがとう魅ぃちゃん。――いただきます」
 魅ぃちゃんのお部屋に来たのは何回目だったかな……?
 普段の男勝りな魅ぃちゃんからは想像できない位、いつ来ても片付いていて綺麗なお部屋。
 小奇麗に片付けてあるけれど飾り気の少ないお部屋は、女の子らしくも無く、かと言って男の子って感じもしなかった。
 この部屋を見る度に、魅ぃちゃんらしいなと思う。
 平静を装い、内の二面性を隠している辺りがすごく魅ぃちゃんらしい。
 きっとあの押入れを開けると、その2面性が露になるはず。
 ――今まで着る事の出来なかった可愛らしい服の入った収納BOXの横には、新しいボードゲームなんかが詰め込まれているんじゃないかな?
 何度か「開けさせて~」とお願いをしたけれど、頑なに拒否され続けたので真偽は定かじゃない。でもきっと間違いないんだよ。

 …………何を関係の無い事に思いを馳せているのだろう。
 ここまで来ていながら、まだ私は恐れている。
 自分の想像する『真実』が、証明される事に、怯えている。
 紅茶を飲む音と、カップとソーサーが触れ合う音だけがお部屋の中を静かに満たしている。……お見舞いに来た……って言う雰囲気じゃないよね。

「心配掛けちゃったね。……ごめんよレナ」
 先に口を開いたのは魅ぃちゃんだった。どう話を切り出していいか決めあぐねて居たので、とりあえず話を合わせておく事にする。
「ううん、元気そうで安心したよ。お家の行事以外で魅ぃちゃんが学校を休むなんて、そんなに無かったからちょっと心配しちゃった」
「…………レナ、そんなに気を使わなくても良いよ。……昨日の事……だよね?」
「え……ぁ……」
 ……まさか魅ぃちゃんから話を振ってくるとは思っても無かったので、正直驚いた。
 私の知っている魅ぃちゃんなら、私がお見舞いでは無く、昨日の二人の事を聞きに来たのだと気付いていたとしても、私が切り出さなければ、その事に触れて来ない筈。
 あくまで弱腰に、受動的に危険回避の可能性にすがりつく……魅ぃちゃんはそういう人の筈……少なくとも、昨日まではそうだった。
「レナにはさ、きちんと話をしなくちゃ……って思ってたから。私も」
「…………」
 私の知っている魅ぃちゃんとは、少し違う魅ぃちゃんがそこに居た。
 少しだけ強くなった魅ぃちゃんの様子が、昨日の出来事が大きなターニングポイントだった事を物語っていた。
「……昨日……ね。圭ちゃんと沢山話をしたんだ。それこそ朝までずっと。お互いの事をもっともっと知りたくて知りたくて、それが抑え切れなくて……気が付いたらもう朝だった」
「…………」
 私の紅茶に波紋の波が揺れていた。カップからの振動が内に寄せて行き、内からの振動がそれとぶつかり新たな波紋を起こす。
 その波間を見詰めながら、私は魅ぃちゃんの話を聞いていた。とても魅ぃちゃんの顔を見られない。
 魅ぃちゃんの言葉一つ一つが、波紋を大きく大きく揺らしていく。
「あたしね、レナ。……圭ちゃんに、自分の正直な気持ちを伝えたよ? そしたらね、圭ちゃん……一緒に居てくれるって……。ずっと一緒に居よう……って言ってくれたんだ……」

 持っていたカップを落とさなかったのは奇跡に近いかもしれない。

-----------------------------------------------------

 私はレナに真実を伝えた。レナが傷ついてしまうであろう事実を、正直に伝えた。
 レナはスカートの上に乗せたカップの紅茶を見詰め続けている。俯いた顔には、何の表情も浮かんでいなかった。
 泣くでも、嗤うでも無いその無表情が、与えてしまった衝撃の大きさを物語っている。
 ――レナが言葉を紡いでくれるのを待とう。そう決めて、私はレナを見守る事にした。
 深々とした時間が過ぎていった。時計の針の音が、まるでレナの心を刻んでいる様な気がして、酷く辛かった。
 私が三杯目の紅茶をお替りしようとした時、レナがポツリと呟いた。
 ――まるで独り言の様な、小さな声だった。
 
「私ね…………それで良いと……思ってたの――」
 冷め切ってしまった紅茶から目を上げる事無く、レナが独り言を紡ぎ始める。
「私は、皆の笑顔が、好き。魅ぃちゃんや、圭一君や、梨花ちゃんや、沙都子ちゃん羽入ちゃん詩ぃちゃん知恵先生に監督やクラスの皆、皆皆の笑顔が大好き」
「……うん、そうだね」
「魅ぃちゃんは私の相談に乗ってくれて、お父さんの笑顔を取り戻してくれたの。だから魅ぃちゃんにはもっともっと笑顔になって欲しいって、そう思ったの。魅ぃちゃんは私の居場所を取り戻してくれた、私の大切な人だって、そう思ったの」
「そっか。……ありがと」
「皆の笑顔がある所がね、私の居る場所だって、そう思ったの。――だから私はその為にね、一生懸命がんばったの。沙都子ちゃんがね、一生懸命作った野菜炒めを持って来たの。とっても真剣に頑張って作ったのがね、すっごく伝わってきて、素敵な野菜炒めだった。美味しい美味しいって食べたらね、沙都子ちゃん、すっごく嬉しそうに笑ってた。嬉しかった。――圭一君が好きな食べ物をお弁当で一生懸命作ったの。お昼ご飯の時、圭一君はすっごく嬉しそうに笑っておかずをね、ヒョイって取ってね、食べてくれたの。嬉しかった……っ! それに――」
 レナの言葉から感情が溢れ出していた。零れ出して来た心の欠片を、無理矢理言葉に乗せて押し出している。そんな感じ。
 ちょっと、やばい……。
 オヤシロ様の話をしている時のレナに似ていた。兎に角落ちつかせよう。
 私はレナの側に寄り沿い、そっと肩を抱いた。
 息継ぎも忘れて一息でしゃべり続けるレナの肩が、ビクッと振るえる。一瞬だけ言葉の奔流が止まった。
「…………魅ぃちゃんがね……圭一君に、女の子として見て欲しいって……。魅ぃちゃんが笑ってくれるなら、それが良いと思った……思った筈、なのにね……」
「レナ……」
「今日……魅ぃちゃんと圭一君が一緒に休んだよね。『あぁ、上手くいったのかな?』って……思った。そしたらね、そしたらね私……わたし……嬉しく……無かったの。……ごめんね魅ぃちゃん御免ね……ごめんね……私……私……」

 レナが私に助けを求めている。助けて助けてと、私の心臓にギュウとしがみ付いている。
 助けを求められれば求められるほど、私の心臓は押しつぶされて、苦しさを増して行った。
 ……でも逃げない。真正面から受け止めると決めていたから。

「レナも…………圭ちゃんの事が………………好きだった……よね」
「分からない……分からないの魅ぃちゃん……」
 覚悟を決めて言った言葉に、だけれど返ってきた返事は、少し予想とズレてた。
「分からないの! ……でもね、今日の朝、二人が……いつもの所に居なかった…………魅ぃちゃんに圭一君を取られたって……思った。――圭一君に、魅ぃちゃんを取られたって……思ったの……」
 あたしを……? 圭ちゃんを取られた、と言うのは分かる……でも、あたしを?
 あたしが戸惑っていると、初めてレナが顔を上げて、私を見つめた。
「魅ぃちゃん、私どこに居れば良いのかな……? 私……また居場所が無くなっちゃうのかな……? 魅ぃちゃんも、圭一君も……あの人みたいに、私の前から居なくなっちゃうのかなぁ……っうくっ……う」

 まるで小さな子供の様な顔をして、私を見つめていた。
 小さな子供が、瞳を潤ませて私を見つめていた。
 この子を助けたい――我侭で自分勝手な感情だって分かってる。
 私がこの子に何かしてあげられる立場じゃない。
 詫びればそれで済む、そういう問題じゃない。それも十分分かってる。
 でもそれなら、全て曝け出してぶつけて貰いたかった。そうする事でレナの気持ちが少しでも晴れるなら……いや、それも自己満足かもしれないね。
 それでも……それでもあたしは、自分の考えられる方法でレナを救いたい。
 レナが傷つく分を、少しでも自分に移せるなら、それでいい。
 あたしは曇っていた表情をぱあっと明るくして、レナの両肩をパンッと叩いた。そして突然の変化にビックリしているレナに一つ提案する。

「レナ! あんた今日泊まって行きなよ! 積もる話は沢山あるだろうからね! いっひっひっひ」

 どうせ我侭なら、最後までそれを通そう。
 自分も皆も幸せが良い! そんな我侭を、最後まで通してみよう。
 ――そう思った時、始めて気がづいた。
 これって、今までいつも……レナがやってくれていた事なんだって……やっと気がついた。



 ― 続く ―

-----------------------------------------------------

ここまでお付き合いいただき、有難う御座います。
これからどのような展開になるのか? 楽しみにして頂ければ、幸いです。
さて「それぞれの絆」も後二話。よろしければ最後まで、お付き合い下さいませ。
来週の水・木辺りに、第四節をアップしたいと思います。
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テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
感想
淡い淡い恋心、切なくて苦しくて、身を切る心を抉る諸刃の槍。
れなさんの心は淡い青い炎を宿した静寂の珠、みんなを癒し、やすぎを紡ぐ。
でも、本当は寂しがり屋の心。
誰かに抱きしめて貰いたくて、守って貰いたくて、泣いている。
れなさんを魅音さんは助ける事は出来ますか?
癒してあげる事は出来ますか? 
【2008/04/25 20:52】 URL | 影法師 #t6/9LHCo [ 編集]


おお、レナ編!
これもめっちゃ好きな話です。
ただ単に仲良しなだけじゃない深い絆っっつーんですか?
レナと魅音はそういうもので結ばれているんだなと感じられました。

にしても、冒頭の二人のやりとりはホント萌えるw
レナはこんな感じで魅音を弄ってりゃイイw
【2008/04/28 00:06】 URL | だいぶつ #gIYQI5Sw [ 編集]


>影法師さん
詩文の様な素敵な感想、ありがとうです!
弱いくせに頑張り屋で優しいレナは、素敵な子ですよね。
この後どうなるか。是非見てやって下さい。
感想感謝です!

>だいぶつさん
本当の意味での親友になって欲しいですよねー。
その為には多分魅音がもう一歩踏み込まないと……とか思いながら、このSS書いてました。
だいぶつさんは、ホントレナと魅音のコンビ好きだよねww
コメントありがとう!

【2008/04/28 06:23】 URL | cvwith #- [ 編集]

携帯からコメント出来るかな?かな?
諸事情によりw携帯から失礼します。
改行とかおかしかったらごめんなさい。

恋で強くなった魅音とレナのやりとりが
とても真っ直ぐで切なくて、なんだか心が締め付けられました。
前の魅音と圭一君のお話は憧れる気持ちが強かったのだけど、今回はレナにすっごくシンクロしちゃって、
良い意味で心が動かされて切なくなったり;;
心が零れた、とか、心の受け皿、などなど、表現がステキすぎてドキドキです///

みんな本当に良い子で真っ直ぐでステキだなーってあらためて思いましたー。

次もこっそり楽しみにしてますww
【2008/04/29 16:18】 URL | krt #mQop/nM. [ 編集]


>krtさん
携帯から、バッチリコメントできてるよー!
読んでいて、共感してもらえるのって、やっぱり一番嬉しい。
そう言ったお話を、オリジナルでも作れたら……と野望持ってるんだよね。
心を動かせられるお話が書けるよう、もっと創作を楽しんじゃおうと思ってる!
感想ありがとね!!
【2008/05/01 02:49】 URL | cvwith #- [ 編集]


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プロフィール

cvwith

Author:cvwith
岡山に生息。
カレーは混ぜてから食べる派です。
「ひぐらしのなく頃に」の二次創作を中心に、ショートストーリー(SS)を書いています。
「うみねこ」もちらほらとやってます。
いずれオリジナルも書いてみたいと野望を持っております。

メアド : kdksf1@mail.goo.ne.jp
「@」を半角にして、ご使用ください。
感想・ご意見・イラストなど随時激烈に大歓迎中です!



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