妄想の地図帳
 「ひぐらしのなく頃に」が好きなおっさんが、二次創作やオリジナル物語を書いたりするとかしないとか。
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初投稿作品 
 これは「ひぐらしのなく頃に」公式掲示板への初投稿SSに、少々加筆修正を加えた物です。
今見ると、やはり恥ずかしいですね。
でも、新しい一歩を踏み出した記念のSSです。
良かったら御一読下さい。

舞台設定は昭和58年の12月24日深夜。
圭一と魅音のお話です。

X’masの帰り道 cvwith


「今日は本当に楽しいクリスマスだったねぇ~」
「あぁ。最後の『秘密のえっちぃ本』探しさえ始まらなけりゃ、非の打ち所の無い1日だったぜ」
「くっくっく。ぃやあ~、あの時の圭ちゃんは最高だったよぉ? あっはっはは!」
「お前なぁ~……覚えてろよ。今度はお前の部屋で『とても人には言えない秘密道具探し』だからな!」

 馬鹿な話で盛り上がりながら、俺達二人は夜の道を歩いていた。
 今日は俺の家でクリスマスパーティを開いたんだ。
 部活メンバーに葛西さんや監督まで加えて、パーティは大いに盛り上がった。
 あんまり楽しかったので、お開きの時間は予定を大幅に過ぎ、解散する頃には夜は随分と更けてしまっていた。
 まったく、時間ってのは過ぎるのが早すぎるよな。
 で、まあ夜道を女の子だけで帰すのは危ないだろうって事になり、俺がレナと魅音を。
 監督が梨香ちゃんと沙都子を送っていく事になった訳だ。
 沙都子達は逆に危険な気もするが……ま、まあ大丈夫だろう。
 詩音は葛西さんの車で帰って行った。
 ――まさかあの渋い葛西さんが、あそこまでの甘党だったとは。
 そんな意外な姿を見せて貰ったお陰で、仲良くなれた様な気がした。悪い気はしなかったな。
 レナを家に送り終え、今は魅音と2人で園崎家へと夜道を歩いている。まあそう言う訳だ。

 透き通るような漆黒の空に、薄絹のような白い光。
 今日と言う一日を名残惜しむ俺たちを、月は優しく照らしていた。
 俺達は夜中だという事も忘れて、とても賑やかに騒ぎあっていた。

 やっぱりこいつと一緒に居る時は、やたら楽しい。
 もちろん、レナや梨香ちゃん。沙都子や詩音も最高の仲間である事に間違いは無いけれど、魅音はちょっと……何て言うんだろ? 毛色が違う……そんな気がするんだ。
 ……んん、上手くは言えないな。
 ライバルでもあり親友でもあり……とにかくちょっと、違う気がするんだ。
 そんな取り留めの無い事を考えつつ手を突っ込んだコートのポケットの内側で、何かがガサリと音を立てた。。
「? ……あぁそうだった。忘れるとこだったぜ。おい、魅音」
「ん? なんだい圭ちゃん?」
「ほれ」
 言いながら魅音の胸元に、赤いリボンで口を縛った紙袋を差し出す。

「え? ……ふぇ……な、何? 圭ちゃん何これ」
「何って、クリスマスプレゼントだよ」
「ええ!? で、でもさっき皆でプレゼント交換したじゃん!?」
「ああ、皆でな。俺のは梨香ちゃんの所に行っちまっただろ? だからさ」
「お、おじさんにくれるの!? ホ、ホントに?」
「他に誰か居るか? 要らねえんならしまっちまうぞ」
「ぅわぅわ! も、貰う貰う貰うってば! ………………あぅ。あ、ありがと……圭ちゃん」
 魅音の顔が見る見る真っ赤に染まって行く。
 それを見ていると、面白くて嬉しかったが、妙にあせった。

「……でもどうしちゃったのさ。急に優しくなっちゃって……」
「なんだ、忘れたのかよ? 2週間位前だっけか。クリスマス大会を企画した日の帰り道に約束しただろ? 俺のプレゼントセンスを見せてやるぜーっ! っ

てな」
「え……あれの事……? そっか。覚えててくれたんだ……。っていうか真剣に考えてくれてたんだね」
「オウよっ。男前原圭一! 例え売り言葉に買い言葉だろうと、自分の言った事には責任を持つぜっ」
「あっはははっ。圭ちゃんらしいよ! うん、ありがとう。貰っておくよ! ……開けて見ても、いいかな?」
「おういいぜ。ちょっと恥ずかしいけど、俺様のチョイスをとくと見やがれってんだ!」

 照れ笑いを浮かべながら赤い顔で魅音は丁寧にリボンをはずし、大切そうに袋の中身をとりだす。
 出てきたのは、赤色の下地に花柄の付いた和紙で包まれた、直径三センチ長さ十五センチ程の筒だ。
「? あ……。これ、万華鏡だ。…………わぁ……きれい……」
 魅音は万華鏡を覗きながら小声でつぶやいた。
 良かった。どうやら気に入ってくれたみたいだな。

「それで月とか明るいもの見てみろよ。もっとすごいぜ?」
「どれどれ? ……うわぁっほんとだキラキラだ! お月様が一杯だよ……わぁあーーっ! すごいすごい!!」
「へへへ、どうよ。俺のプレゼントセンスは」
「うんうんっ。文句なしだね! 最高だよ圭ちゃん。ありがと!」
 そういって万華鏡から目を離し、俺に向けた魅音の笑顔は……屈託の無い、本当に最高の笑顔だった。

 ……こりゃあプレゼント勝負は俺の負けだな。
 だってさ、この笑顔以上のプレゼントなんて、誰か用意できるか?

「……あ、でもさ、あの約束した時ってレナも、居たよね……。レナには……あげたの?」
「うっ。い、痛い所突くじゃねえか」
「な、何をあげたんだろうねぇ~。それを知らないとまだ勝負の判定はできないねぇ~」
 魅音は笑っているような困っているような、何だか良く分からない微妙な表情をして見せた。
 困ってんのはこっちだってぇの。
「い、いや、実はだな……」
「はいはい、なんだろうねぇ~? おじさんのプレゼントがこれなんだから、さぞ乙女チックな物なんだろうねぇ~」
 うりうりと魅音が俺の脇腹を肘で小突く。
「……無いんだ」

「え?」
「レナには、あげてない。お前のしか買えなかったんだ」

「! ……あ、あたしだけなの……? ……あ、あはは! まま、まぁ圭ちゃんの甲斐性だとそんなに沢山プレゼントは買えないよねえっ」
「うっ……。しょうがないだろ! 中途半端な物はやりたくなかったし、交換用の分とお前の分を用意してたら圭一王国の国家予算一杯一杯になっちまったん

だよ。で、レナには申し訳ないとは思ったんだけど……」
「――――そっか、レナには悪いけど……あたしだけかぁ……へへへ」
 魅音はまた顔を赤く染めて、俯いた。
 手に持った万華鏡の花柄を慈しむように眺める姿を、不覚にも可愛いと思ってしまった。
 俺まで赤くなってしまいそうで、照れ隠しに俺は言った。
「レ、レナにはまぁ……そ、そうだな。『かぁいいもの探しの手伝い券』でもあげて何とか許してもらうさっ」
 そう言うと、それまで無邪気に喜んでいた魅音はふと、何かに気が付いたように顔を少し曇らせた。

「…………圭ちゃん、プレゼントは本当に嬉しいよ。ありがとう。でも、やっぱり何だかレナに悪いよ……」
「そんな事気にするなよ。きっとレナも気にしないと思うぜ?」
「あたしは……せっかく圭ちゃんがくれたプレゼントをさ、レナに隠さなくちゃいけないなんて……いやだよ」
「ん、そ、そう来るか。……くっそ、分かったよ。レナにも何かプレゼントする! 絶対だ! んでも今は待ってくれホンットに金が無い! ……ったく、お

前ってそう言う所は、やけに気を使うよなあ」
 あははと申し訳無さそうに魅音は笑った。
「貰ってる身なのに、わがまま言ってごめんね圭ちゃん」
「気を使うんなら、俺の財布にも気を使ってくれよなー」
「わがまま言ったからね。いいよ、おじさんも少し援助するよ」
「ばっか冗談だよ。プレゼントってのは気持ちの贈りものだぜ? 人の手は借りないっつうの」
「あっは。さすが自分の言った事には責任を持つ男だね。よーし、じゃあその男気に免じて、次の罰ゲームは免除してあげるとするかね!」

 俺がレナのプレゼントも約束してやるとすっかり安心したのか、魅音はまた嬉しそうに万華鏡を覗き始めた。
 ――やれやれ、圭一王国は来月も赤字確定か。でも仲間の為なら惜しくないぜ……ホントだぜ……?

--------------------------------------------

 魅音は月明かりを頼りに、万華鏡で色んな物をみて楽しんでいた。
 新しいおもちゃを貰った子供そのものだ。
 手の平をみて、小川に反射した月を見て、遠くの民家の明かりを見て……。
 本当に嬉しそうだ。こっちまで嬉しくなっちまう。
 そんな魅音をボーっと眺めながら、こいつはいつでも面白いやつだな、と思った。
 それに今は、なんだかちょっと可愛いぞ?
 ――うん、ちょっと可愛いな……。

 そんな風に、いつもと違う姿を見せてくれる魅音の傍に居られる事が、何故だか誇らしかった。
 梨花ちゃんの事をいつも自分の事の様に誇らしげに自慢する沙都子の気持ちが、その時少しだけ分かったような気がした。
 なんて事を考えていると、突然魅音が俺に万華鏡と笑顔を向けてきたのでちょっと慌てた。

「お、なんでしょう? こっちには前原圭一君がいっぱい居ますねぇ~? くるくる回してみましょー」
「おっと! 俺様をタダで見ようとは不届きな奴だぜ。そんなやつにはこうだーっ!」
 万華鏡の前で人差し指をクルクル回してやった。
 そう、トンボを捕まえる時に漫画とかでよくやるあれだ。
「わああぁ! 圭ちゃん目が回る、目が回るよぅ~。あはははははっ」
「わはははははっ。圭一マジックに掛かって眠るがいい!」
「助けて~~。眠ったらH大王にお持ち帰りされちゃうよ~」
「レナじゃないんだからそんな事するかぁ!」

 ――こんなに暖かい気持ちになれるなんて、雛見沢に越して来るまでは思いもしなかった。
 感情を表に出す人間を馬鹿にして、人を出し抜く事ばかり考えていたあの頃はなんて寂しくて無機質な人生だったんだろう。
 雛見沢に来て、本当に良かった。皆にあえて、本当に良かった。
 どう感謝していいのか分からない位感謝してる。
 引っ越して来てまだ打ち解けられない俺に、一番最初に声を掛けてくれたのは魅音だった。
 その事を忘れた事は無い。
 魅音はいつでも仲間の事を一番に考えてくれる。
 たまに見当違いな事をしちまうけど、それは不器用なだけで、それもやっぱり相手の事を考えての事なんだ。
 空気が読めない? 上等じゃないか。俺が翻訳してやりゃあいいんだ。

「……ありがとうな、魅音」
「ほぇ? 何なにどうしたの。プレゼント貰ったのはおじさんの方だよ?」
「いんだよ。今の俺があるのはお前達のお陰だって事さ」
 そういって魅音の頭をワシワシと撫でてやった。
「わきゃ!? ほ、ほんとに今日の圭ちゃんは、オ、おかしいですねぇ~」
 万華鏡をクルクル回しながら俺を覗き込む魅音は、頬も耳も真っ赤だった。
 お? 照れてるなこいつ。
 そういや魅音の頭を撫でるなんて事は、あんまり無かったな。
 どっちかって言うと男友達に近いイメージだからだろう。
 でも今はいつに無く女の子っぽく見えたもんだから、梨香ちゃんや沙都子と同じ感覚で自然に撫でてしまった。
 いつもこうしてれば可愛い奴なんだけどなぁ。
 実際顔とかも可愛い部類に入るだろう。
 「黙っていればいい男」なーんて監督の事をよくちゃかしてるけど、お前だってそうだろう、と思うぞ。

 言わないけど。

 実際、同じ容姿の詩音があんなに女の子っぽいし、その……なんだ、ほれ、色っぽいんだ。
 魅音だって十分素質があるはずだ。

 言わないけどな。

 あ、でも普段の元気一杯で男勝りな魅音も、もちろん良い奴で最高の友人である事に間違いは無いな。
 ……ん? 何だ。じゃあどっちの魅音も俺は気に入ってるんじゃないか。
 もう12月も終わる。お前と一緒に雛見沢の学校に行けるのもあと少しなんだな。
 ……正直、寂しいぜ。
 でも俺達はいつまでも仲間だ。親友だ! もうすぐお前は先に卒業しちまうけど、俺はいつまでもお前の――

「あぅ、その……けけ、圭ちゃん? ……、あ、あの、あた、あたあたしししし……」
「ん? どうした魅音変な声出し……って、おわぁ!」 
 魅音の頭を撫でながら、とりとめも無く考え事をしていたら、何時の間にか俺の右手は魅音の頬を撫でていた。
 手の平が魅音の体温であたたかい……。
 慌てて手を引っ込めるのと同時に、俺の頭の上からボンッと湯気が上がった。

「うおぉすすす、すまねえ!! か、考え事してたっ。ゴ、ゴメン!」
「う、ううん! いいよ別にそんな謝る事じゃないしっ……ちょ、ちょっとびっくりした……だけ、だか、ら……」
「「…………」」
 流石に二人とも真っ赤になって俯いて歩く羽目になってしまった。
 しばらくの無言の後、最初に口を開いたのは魅音だった。
 小さく、独り言のように。

「な、何考えてたの……かな」
「え?」
「さっき。……考え事してたって……」
「さ、さっきか……?」
「……うん」
「そ、そんなの聞いても面白くないって」
「……いいの。知りたい」

 ――さ、流石にそれは言えねえぇっ。
 『お前の事考えてたんだぜ?』なんて恥ずかしくて言えるかあっ。
 な、何かうまく答えるんだ前原圭一。お前ならできる! さあ考えろ前原圭一っ。
 そ、そうだ。俺はさっき、『今日のパーティの事を思い出して余韻にひたっちまってた』んだ!
 そうだそれだそれでいい。さあいけ前原圭一っ。時間はあまり無いぞ!

「さ、さっきはだな……!」
 俺はものすごい勢いで魅音のほうに振り向きながら切り出した。

 「……うん」

 振り向いた先の少女は頬を紅潮させ、僅かに潤んだ瞳で上目使いに俺を見つめていた。
 月の光に照らされ、さらさらと風になびく翡翠色のポニーテールは、とても。……そう、とても。

 ――綺麗だった――

「……み、魅音の事……考えて、ました……」
「……わぅ……」

 ――ってばかあぁっ。正直かよ俺。俺正直かよ!
 は、恥ずかしすぎる。恥ずかしすぎるぞおっ。
 頭の中は人生最大級のパニック状態だったが、体のほうは硬直してピクリとも動けない状態だった。
 魅音は魅音で、俺を見つめたまま硬直している。
 お前が聞いたんじゃないか! 次の展開くらい考えとけーっ。

「「…………」」
 また、沈黙が訪れてしまった。しかし今度は歩くでもなく、お互い足を止めて見詰め合ったままで。
 まるで先に動いたほうが負ける……とでも言わんばかりに硬直している。
 何の勝負なんだ。
 心臓はバクバク言いっぱなしだ。
 どれくらいの時間が経ったんだろう。
 5分? 10分? それとも10秒も経ってないのか?
 心臓がうるさい。喉までせり上がってドクドク言っている。。

 ――でもきっと魅音も同じだ……と思う。
 魅音の唇が少し開いてる。
 何かを言おうとして、何を言えばいいか分からない。そんな風に見えた。
 ……俺も、同じだ。
 (二人ともきっと同じだ)
 そう思うと、だんだんと、落ち着いてきた。
 恥ずかしいのは間違いないけれど、気づけば気持ちのいい沈黙だって事に気が付いた。
 本当にかなり恥ずかしかったけど、正直に言って正解だったんじゃないだろうか?

 ほんの少し余裕ができたから、少し笑ってみた。
 多分、相当引きつった笑いだったに違いない。
 それをみて魅音も笑ってくれた。
 片方だけ口をくいっと持ち上げて。
 相当ひきつってる。

 ほら、やっぱり同じだ。

「……ふ」
「……ぷ」
「くっ」
「「っあははははははっ!!」」
 お互いのひきつった笑顔を見て、俺達は笑った。
「もーーー、勘弁してよ圭ちゃん。今日はおじさん、圭一マジックでメロメロじゃん~?」
「お前こそなんだ。月の光を味方につけて萌え落としか? ずるいぞ、卑怯だ。ドキドキさせらちまったじゃねえかっ」
「はははは。お互い様だねー」
「ああ、お互い様だな」

 やっといつもの調子に戻る事ができてホッとしたけど……ちょっと残念な気もするな。
 でもいつもならさ、今みたいな軽口を叩く時『相手を』茶化していた気がする。
 だけど今はお互いが『自分を』茶化してた。
 これってつまり、お互い相手に対する気持ちに少し素直になれたって事なんじゃないだろうか……なんて思った。

 ああ、今日はなんて特別な日なんだろう。
 この時が時間と共に過ぎて行っちまうなんて、余りにも惜しいぜ!
 ……なんて事考えていたら、いつの間にか園崎家に到着していた。
 何だよ、もう着いちまったのか。

「圭ちゃん、プレゼントありがとね。今日はおじさん本当に嬉しい事ばっかりだったよ!」
「ああ、俺もだ。今日は圭一記念日にしてもいい一日だったぜ」
「ははは。そうしなよ! あたしも魅音記念日にするからさ」
「おう! ……ん……じゃあ、また明日な。――おやすみ」
「……うん。おやすみ。気をつけて帰ってね。圭ちゃん」

 そう言って俺は家路についた。
 少し歩いて振り返ると、魅音はまだ玄関口に立って笑顔でずっと手を振っていた。
 それに手を振りかえす。
 何気ない事なんだが、何なんだろう。この嬉しいようなくすぐったい様な感覚は。

 明日みんなで集まる約束をしていたから、またすぐ会える。
 だけどなんだか今日は凄く名残惜しかった。
 確かに明日はまた楽しい一日が始まるだろう。
 でも、今日みたいな特別な1日はもう来ないかもしれない。

 俺は歩くのをやめて考えた。自分の気持ちに素直になってみよう、と考えた。

 ……もうちょっとだけ、魅音と一緒に居たい。

 もう一度戻って、それでもまだ魅音が玄関にいたら、少しだけ散歩しよう、って誘ってみるか?
 いやでももうかなり遅い時間だ。あんまり遅いとお袋も心配するだろ。
 それに園崎家は俺の家より門限とかに厳しそうだし。
 ……やっぱり素直に帰るか。いやでも、もうちょっとなら……。

 一連の思考を3回ほどループさせた頃だろうか?
 不意にコートの背中をクイクイと誰かに引っ張られた。
 驚いて振り向くと、そこにはちょっと照れくさそうな魅音が立っていた。

「ど、どうしたんだよ魅音?」
「えへへ。圭ちゃんこそどうしたのさ。こんな所でボーっと突っ立ってさ。帰るんじゃなかったのォ?」
「俺は…………ちぇっ。同じ事考えてるんだろ? どうせ」
「そうだと嬉しいねー」
「さっきは俺が言わされたからな。今度は魅音の番だろ」
 俺がそういうと、魅音は唇を数字の3の形に尖らせた。

「ちぇー。ずるいなぁ。……んーまあ、おあいこか」
「そういうこったな。さて――どうしたんだ? 家に帰らないのか魅音?」
 台詞の後半をちょっとだけ、わざとらしく言ってみた。

「うん、あのさぁ……もうちょっとだけ」
「一緒に散歩しようよ」「一緒に散歩でもするか」

 魅音の口の動きに合わせて、俺の気持ちも言葉に乗せて見た。
 やっぱり同じだった。
「へへ。やっぱり一緒だったな」
「……うん。そうだね!」

 魅音は本当に嬉しそうに笑った。
 夜の帳の中で、輝くように花が咲いた。
 
 はにかんだその笑顔は俺の心に焼き付いた。

 きっと生まれ変わっても忘れない。

 俺は、いつまでもこの笑顔と一緒に居よう。
 たとえ何があってもこの笑顔を守る。
 
 そう、誓った。

--------------------------------------------

 散歩コースはいつもの待ち合わせ場所である、水車小屋までの往復コースって事になった。
「あ、あのさ、圭ちゃん。 じ、実はおじさんも圭ちゃん用のプレゼント用意してたんだ。恥ずかしくって言えなかったんだけどさ」
「おぉ? 何だよ危なく貰い損ねるとこだったのか。で、いったい何をくれるんだよ」
「へっへーー秘密。水車小屋に着いたらあげるよ」
「ほっほーう、そいつは楽しみだぜ。圭一様のプレゼントセンスはもうご承知だよな。それに勝てるのかぁ?」
「んー、あれは強烈だったからなー。でもきっと良い勝負できると思うよー?」
「大した自信じゃねえか。……まさか魅音さん自身にリボンが付いてたりする荒業じゃないだろうな。あっはっは」
 俺の冗談を聞いた瞬間、魅音は一瞬息を呑み恥らうように俺の瞳から視線を外し、俯いた。

「…………圭ちゃんが欲しいんなら。……私、それでも、いいよ?」
「え!? ……あ、いや、ちょ、み、魅音??」
「……ぷっ! いやぁウブだねえ圭ちゃんは。あっはっは」
 ゲラゲラと笑い、バシバシと俺の背中を叩く魅音。
 ……コノヤロウ。

「ごめんな。今日の魅音は魅力的過ぎて……さ。つい本気にしちまった」
「え? ……あ、いや、ちょ、け、圭ちゃん?」
「……ぷっ」

「! あーーっ。もうずるいよーー!」
「「あははははっ」」
 深く更けて行く夜も、暗くは無かった。
 俺を見つめる少女の笑顔が、俺を照らしてくれていたから。

 水車小屋に続く小川のせせらぎが、静かに俺達を笑っていた――。



結局魅音から何を貰ったかって?
そいつは恥ずかしいから秘密だな。また、今度教えてやるよ。

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テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

うっは、第一号ゲトwwww

懐かしいなー、確かこの頃はまだ知らないで読んでたんだよねー
後で知ってびっくりしたさw

>そいつは恥ずかしいから秘密だな。また、今度教えてやるよ。
是非今度じっくり教えてな!

因みにおいらも昨日FC2に登録したよ
お互い頑張ろうぜ!!
【2008/01/19 18:00】 URL | けーすけ #o.trGIrQ [ 編集]


コメントその2!ゲト!wwww
いやはや、ついにブログ始動ですな。
今後楽しみです。(^^)
【2008/01/20 03:07】 URL | コボ #CofySn7Q [ 編集]


サイト開設おめでとうございます!
久しぶりに読んだらやはり萌えましたw
【2008/01/25 22:59】 URL | だいぶつ #4Yo7.rbY [ 編集]


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プロフィール

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Author:cvwith
岡山に生息。
カレーは混ぜてから食べる派です。
「ひぐらしのなく頃に」の二次創作を中心に、ショートストーリー(SS)を書いています。
「うみねこ」もちらほらとやってます。
いずれオリジナルも書いてみたいと野望を持っております。

メアド : kdksf1@mail.goo.ne.jp
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感想・ご意見・イラストなど随時激烈に大歓迎中です!



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