妄想の地図帳
 「ひぐらしのなく頃に」が好きなおっさんが、二次創作やオリジナル物語を書いたりするとかしないとか。
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夕焼け
 みなさまこんにちわ。お元気してますか?
今日は久しぶりに、SSをアップしました。
物凄く短いので、SSS(ショートショートストーリー)って感じですけど(汗
夕方の国道、車を運転している時に、もわんと妄想したお話です。
ほんのちょっぴりのお話です。短いお時間、お付き合い頂けると幸いです。
それでは、どうぞ。
そうだ、1万4千HITしてます。皆様ありがとう!

12/13日、かるとさんから挿絵頂きました! やっほう!

PS.だいぶつさん、いつも拍手コメントをありがとー!
 
 遠く聞こえる微かな鈴虫の音を、風が運んでいる。
 三日前に散髪したばかりの髪を梳くそれは、日増しに濃くなっていく秋の香りを含んでいた。
 校庭のベンチに腰掛けながら、夕日に染まるでっかい空を、俺はレナと一緒に見上げている。
 二人とも、ぽっかりと口を開けながら。
 小さな雲が一つ。
「……何だかアヒルさんみたいで、かぁいいねぇ……」つぶやくレナ。
 ――確かにそんな風にも見える。
 薄灰色のアヒルか……大きくなったら、白鳥になるのかね。
 雲のアヒルは、西側に向けたお尻が朱に染まっている。
 比較的のんびりとしていた一日も、もう終わりらしい。
 山の峰に身を寄せた太陽はゆるゆるとその身を揺るがせ、薄蒼の空に優しいグラデーションを掛けていた。
「……綺麗だね」レナがつぶやく。
 ――すまんレナ。
 俺今、何となく『美味そうだなぁ』って、思ってたよ。……ほら、団子みたいじゃないか。みたらし団子とか、それ系の。
 子供っぽい事を考えた自分が恥ずかしくて、俺は笑って「そうだな」と嘘をついた。
 嬉しそうにオレンジ色の笑顔を見せるレナに、ほんの少しの罪悪感。
 ゆるい風に遊ぶ髪をなだめるレナが、夕日に染まって輝いて見えた。ほんの少し、ドキリとした。
 長い影を落す校庭の木々も、古びた校舎も、鉄棒も空気も、オレンジ色に輝いてる。
 ここに引越して来て良かった――こんな夕刻を過ごす度に、俺はそう思う。

 輿宮に続くオレンジ色に染まった一本の長い坂道。それが空と交わる地平線に一つ、シルエットが浮かび上がった。
 元気一杯に自転車を立ち漕ぎし、登ってくる制服姿。ポニーテールが、まるで手を振るように揺れている。
「あっ。圭一君、ほらほら、魅ぃちゃん帰って来たよ!」
「おう。やっとだな」シルエットを見る俺達の頬が緩む。
「魅ぃちゃーん!」
 レナは立ち上がって嬉しそうに手を振った。
 オレンジ色に縁取られたシルエットは、ブンブンと大きく手を振って応えた。
 太陽を背負っているので表情は見えないが、魅音は全身で笑っていた。

夕焼け魅音

 自転車はもうもうと土煙を巻き上げつつ校庭を横切り、俺達に向かって突っ走ってきた。
「おぉ……まるで猛牛だな……って、お、おい?」自転車は一向にスピードを緩める気配が無い。
 真っ直ぐ俺達……いや、俺に向かって突進して来るじゃないか。
 ――ちょっと待て。そのスピードで停まれるのか?
 慌てて立ち上がった俺だが、時すでに遅し。満面に笑顔を湛えた魅音は俺の目の前だった。
「おわーっ」
 尻餅を着いた俺の前で、自転車の前タイヤが悲鳴と土煙を巻き上げた。
 フルブレーキングした前タイヤを軸に自転車は百八十度回転し、回し蹴りの様に飛んできた後輪は俺の顔を掠めて着地した。
「へっへー、どうよ?! 見事なジャックナイフターン!」
 土煙にゲホゲホと咳き込む俺の上から、罪悪感ゼロの元気一杯な声が降り注いだ。
「~ったく! 風情も何もあったもんじゃないな、お前はっ」
「び、びっくりしたんだよぅ~」
「にゃっはっはっは。圭ちゃんビビリ過ぎ~」

 今だ見慣れない制服に身を包み、俺を指差しながら翡翠色のポニーテールが笑っていた。
 紺色のセーラー服に紅いスカーフ。特に変わった所も無い、ごく一般的な高校の制服。
 魅音が高校に通い始めて、五ヶ月位か……。
 最初のうちこそ寂しさにしょぼくれもしたが、それもすぐに消えた。
 ……消えたというか、大して変わらなかったのだ。
 確かに雛見沢学校の席は一つ、空席となった。けれどそれで俺達の縁が切れる訳じゃない。
 週末には一緒に遊んでいるし、今日みたいに放課後に落ち合う事もしょっちゅうだった。
 以前より電話もするようになった。
 ……でも電話に関しては、ちょっと苦手だ。特に用件も無く、今日の出来事なんかを話していると、妙に照れ臭くなってくるんだ。なんでだろうな。
 まあそんなこんなで、俺達は今まで通り。変わった事といえば、魅音の高校での友達とも遊ぶようになり、交友関係が広がった事位だろう。

「やーメンゴメンゴ。部活が長引いちゃってさ。待たせちゃったかね?」
「ううん、お日様が綺麗だったから、全然平気だったよ」
「バレー部だったっけ? お前」
「うん。一応ね」
「一応ってなんだよ?」
「やー、おじさんほら、運動神経抜群で頭脳明晰じゃん? だから色んな部からひっぱりだこでさー。ちょくちょく助っ人に入るんだよね」
 体を反らせ、誇らし気にでかい胸を張る魅音。破天荒な事だけど、こいつの事だ。本当にやってるに違いない。
「ほー、大したもんだな。……で、幾ら貰ってるんだ?」
「ほぇ?」
「助っ人料」
「や、やだなあ。そんなの取ってる訳」
「取ってるだろ?」
「ぐ……や、やぁ。今日も良い夕日だねぇ」
 額に手をかざし、わざとらしい仕草で夕日を見上げる。本当に分かり易い奴だ。
「来週エンジェルモートな。俺日替わりランチのAセットで。レナは何が良い?」
「わわ、良いのかな、良いのかなっ?! 私は、スウィートケーキのスペシャルセットを、お持ち帰りしたいーっ」
「ちょちょ、ちょっと二人共?」
「ご馳走になります先輩っ」直角お辞儀をする俺達。
 一年生になったばかりの魅音の心には、『先輩』と言う響きが甘露に響き渡った筈だ。
 チラリと見上げると、案の定。さっきまでワタワタしていた魅音は、満更でも無い表情で頬を赤らめていた。
「しょ、しょうがないなぁ! よし、二人分位ならこの魅音先輩がドドーンと!」
「梨花ちゃんと沙都子の分もな」
「ふえぇっ?! そ、それはちょっと」
「圭一君、羽入ちゃんも忘れちゃダメだよ?」
「おおそうだった」
「ひゃあ、あの子はダメーッ! 絶対お小遣い無くなっちゃうよーっ!」

夕焼け

 夕日に溶け込む薄水色のセーラー服が、笑いながら逃げた。
 夕日にシルエットを際立たせる紺色のセーラー服が、笑いながらそれを追う。
 二つのコントラストを眺めて、俺は笑った。
 半年前と変わらない笑い声は夕焼け空に響いて、優しく溶けていった。


―― おわり ――

挿絵(魅音) かるとさん
感謝!!


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テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
ウヒョー
おお、久しぶりのひぐらしSSですな!
魅音がいろんな部活に助っ人で引っ張りだこってなんかホントにありそうだなぁw
バレーで飛んだり跳ねたりでいろんなところがぷるんぷるんしてるのを妄想してしまったw ぐひひw
っと、魅音の感想ばっかりになってしまったw

魅音が卒業してから半年経っても3人の変わらない関係に心和みました。
この話が「それぞれの絆」と同じ時間軸の話だとしたら実に感慨深いというか・・・
なんかいいですね。

しかし、夕焼け綺麗だ・・・これも借りていい?w
【2008/12/12 23:15】 URL | だいぶつ #gIYQI5Sw [ 編集]


>だいぶつさん
どもですー。
魅音は背も高いし、バレー向きかな~とか思って勝手に決めましたw
魅音の感想ってより、妄想ですなwww

これはそれぞれの絆の時間軸のお話になります。
感慨深いって言って貰えると嬉しいっす!
【2008/12/14 01:37】 URL | cvwith #- [ 編集]


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Author:cvwith
岡山に生息。
カレーは混ぜてから食べる派です。
「ひぐらしのなく頃に」の二次創作を中心に、ショートストーリー(SS)を書いています。
「うみねこ」もちらほらとやってます。
いずれオリジナルも書いてみたいと野望を持っております。

メアド : kdksf1@mail.goo.ne.jp
「@」を半角にして、ご使用ください。
感想・ご意見・イラストなど随時激烈に大歓迎中です!



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