妄想の地図帳
 「ひぐらしのなく頃に」が好きなおっさんが、二次創作やオリジナル物語を書いたりするとかしないとか。
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オリジナルショート『アスイーム 第一話 enad』
 みなさまこんにちわ。
今日はオリジナルなSSをアップしてみました。
と言っても、完結していないのですが……。
最後まで出来てから上げようと思ったのですが、うー、どうも上手くまとまらず、でして。
とりあえず触りの部分です。

ひぐらしは全く関連性が無いです。
お時間に余裕が有りましたら、御一読頂けると嬉しいです。

ジャンルは……なんだろ? 
よく分かりません(汗
よ、良かったら読んでみて下さい!



「アスイーム -Enad- 」

 大したものだよ。
 どうしたらそんなに上手く嘘を吐けるんだ。
 いつまでも衰えない。どれだけ塗り重ねてもメッキの一つも剥れない。
 千の嘘を万の偽装で塗り固める。
 さあ教えてくれないか? どんどん上手くなっていってくその訳を。
 隙のない嘘に大勢が騙され、君の味方になっていく。
 誰も君を疑わない。まるで僕が悪人のようだ。
 君を大切に思う人が増えていく。どんどん膨れ上がって。
 どうにも君はやり方が上手いよな。
 次々に人の信頼を獲得していくんだ。

 信頼を裏切りながら。

 迷いのない笑顔を振りまいて、家に帰れば舌をだすなんて。
 当たり前なんだろう?
 大したものだよ。
 今や君はひとつの国だ。偽られた信頼の国王。
 真実の弾丸なんて、君には届かない。
 鉄壁の虚像に守られた王が、大空を笑う。
 なのに何故、今僕を目の前に立たせる?
 何故君は銃口の前で、偽りの笑顔を見せているんだ?

 
「どういうつもりだ」
「君が望んだからさ」
 革張りのレカロ社製ソファーにゆったりと腰掛けた初老の男は、突きつけられた銃口の前で顔色も変えず優しく微笑んだ。
 男の命運は、僕の右手の人差し指に数グラムの力が加わるだけで、あっさりと終わると言うのに。
 疑う余地は無い。
 運命を覆すには、五センチと言う距離は、余りにも儚すぎる。
 五十万は下らないその高級ソファーに、脳漿をぶちまけて、それで終わり。

 なのに何故笑う?

 僕が引き金を引かないとでも思っているのか。
 とんでもない。
 熱い。腹の底の底。体の芯の暗い部分がグラグラと煮えている。
 指の筋肉が、収縮させろと騒いでいる。猛る無意識が勝手にトリガーを引きそうだ。
 躊躇などしていない。僕は、本能の殺意に、必死に耐えているんだぞ。

 なのに何故笑う?

 ――いいだろう。
 偽りの人生に飽いたなら、今すぐに僕が終わらせてやる。

「久しく連絡もとらず、悪かったと思っている。元気にしているか気に掛けていたんだよ」
「戯言に付き合う気は無いよ。答えろ。何故僕の面会を許した? こうなると分かっていた筈だ」
「だから言っているだろう。私も君に会いたいと思っていたんだよ」
「ふざけるなっ」
 横っ面に、振り上げた銃尻を思い切り叩き付けた。
 みちり。
 肉のひしゃげる嫌な感触に僕は顔をしかめ、男は短く呻き声をあげて椅子から転げ落ちた。
 掛けていた眼鏡が吹き飛び、乾いた音を立てて床に転がる。
「僕はお前の顔なんか見たくも無い」
「ゴホッ……なら、何故ここに来たんだね」
 頬を腫らし、切れた口内から流れ出す血を拭いながら、男はそう言った。
 やっぱりだ。
 山程の嘘を並べ、上っ面の成功人生を歩んでいるから、そんな事も分らないんだ。
 うんざりしながら僕は答えてやった。
「見たくない顔を、消しに来たに決まってる」
 再び銃口を男の額に突きつけた。
「君には…………すまなかったと思っている」
 そう言った男の、迷いの無い、真摯な瞳。
 そうだ。
 嘘吐きはこの瞳で人を貶める。
 真実を小道具に変え、人を過ちへと導く。
 自らの心さえ欺き、築き上げた虚構の世界。
 いつかその世界は男の中で真実と挿げ替えられる。そして堂々と胸を張り、人を誑かす。
 人々に偽りの安らぎを与え、代償に真実という実を奪う。そして手に入れた信頼を、嘲笑いながら暖炉にくべる。
 それがこの男だ。
 一度、騙された。
 もう二度と騙されない。
「虫の良い事は承知している。頼む……昔の様にもう一度、私と共に歩まないか」
「――引き金を引かせるには、十分な言葉だね」
「父上の事、やはり恨んで」
「黙れ」
 拳銃のスライドを引く、ガチリと言う音が男の口を塞いだ。
 お前に父の名を語る資格があると思っているのか。
「散々に利用した挙句、僕達を切り捨てたお前の言葉など」
「――君の父上も、同じ事を言っていたよ……」
「当たり前だ。欺瞞に満ちたお前の選択に、父が賛同する筈も無い」
 父は男の不正に気付き、それを暴く為、男の屋敷に侵入した。
 そしてこの男は、父を……殺した。
 僕が駆けつけた時には、もう父の魂は旅立っていた――父の最期の姿が脳裏をかすめる。
 血の、逆流。
 尻から脊髄を遡り、延髄を突き抜けた怒りと哀しみは脳髄を焼き、映る世界が真紅に染まって行く。
 手の震えが止まらない。もうそろそろ限界だ。この茶番に幕を下ろそう。
 奇跡の可能性を残す五センチすら、この男には必要無い。
 男の額にグロック社製自動拳銃を無遠慮に押し付け、審判の刻を継げた。
「何か言い残す事が有るなら、聞いてやる」
「…………もう、どうにもならないのかね?」
「…………」
 僕の冷やかな視線を避ける様に、男は顔を伏せた。
 じくじくと沈黙を食む、乾いた空気と淀んだ殺気。
「――――」
 音も無き死へのカウントダウンが三十秒も過ぎた頃、男が何かを呟いた。
「何?」よく聞き取れず、聞き返した。
 男は顔を上げた。
「君も……君の父上も――」
 その顔は、今でも忘れない。

「疑いなど持たず、大人しく私に従っていれば良かったものを。余計な詮索などと、馬鹿な事を」

 下卑た笑いが、男の顔にこびり付いていた。
 唇の端をいびつに吊り上げ、蔑む様な目で僕を見上げて。
 思わず笑いが込み上げた。つられる様に、僕の唇が歪んでいく。
 恐らくはこの時、僕も同じ顔をしていたに、違いない。
 最後の最後。分かれの際に、僕と男はやっと本性を表して、向かい合う事が出来たって訳だ。
「ふふふ……ははははははははっ。上出来だ……あんた、上出来だよ」
 命乞いもしない。命を奪う事に何の躊躇いも抱かせない男の醜悪さに、僕はある種好感さえ抱いた。
 ありがとう。
 おかげで良心の呵責も無く、すっきりとあんたを殺せるよ。
「あの世に着いたら、父上にも同じ言葉を届――」
 パン。

 男の言葉に、グロックの銃声が答えた。放たれた銃弾は、男の額に小さな穴を穿つ。
 糸の切れた操り人形の様に、ぐにゃりと床に崩れる。
 滑稽な踊り。
 ほら。後頭部から薄汚い華が咲いて、広がっていく。

 ――気に入らないな。全く、気に入らない。

 僕はもう一度引き金を引き、男の胸を撃った。
 パン。
 鼓膜を打つ渇いた炸裂音が、僕の心を逆撫でする。
 気に入らないのは、この音だ。
 いつ聞いても、終わりを告げるには似つかわしくない、軽々しい音。
 大勢の人を騙し、僕を騙し、親友である父をも騙し、命を奪った男の断罪が、こんな軽々しい音で終わってしまっていいのか?
 熱を増した血が体中を駆け巡り、終わらせた筈の憎しみを、加速させていく。
 何度も何度も、引き金を引いた。
 男の体に黒い穴は増え、血の華は広がっていく。
 なのに、いつまで経っても納得のいく音は、出なかった。
 ものの十秒も掛からず、弾切れでグロックはホールドオープンし、トリガーを引く手応えを失った。そして僕の苛立ちは更に募った。
 くそ。替えのマガジンは持って来ていないのに。

 ……父に、同じ言葉を届けるだと?
 ふざけるな。そんな事が、お前にできる訳が無いだろう。
「――あんたは、行き先が違う」
 そうだ。お前なんかが、父に会えるものか!
男の体を蹴りつけた時、扉が乱暴に蹴破られ、五人の武装した黒服達が部屋に雪崩れ込んできた。
「銃を捨てろっ!」
「両手を挙げるんだっ」

 口々に叫ぶ男達を、何の緊張感も無く眺めつつ、僕は思わず苦笑した。
 遅いよあんた達。遅すぎる。
 見てよほら。もう事は終わってる。あんた達の大切なお飾り人形は、糸が切れてスクラップだ。
 赤黒いオイルも漏れてしまって、ね? ガタガタ。
 こんなに沢山の穴が空いてしまったら、修理はもう無理だ。
 でも大丈夫。
 お払い箱のあんた達にも、まだやるべき事は残っているんだ。
 あんた達のお飾りには、僕が幕を引いてやった。――少々物足りなかったけれど。
 だから、そう。
 今度は僕の幕を引いてくれ。
 あんた達が、僕の死神だ。

「聞いているのかこのクソ野郎っ。銃を捨てろっ」
「あぁ畜生。何てこった……捨てろ。捨てろっ」
 M3ショットガンを構えた二人の男達は、にじり寄りながら口々に怒鳴っている。
 ああ、捨てるよ。分かってる。そう怒鳴らないで。
 でも捨てるのは、銃じゃない。これは良い銃なんだ。

 捨てるなら、僕の命で十分だ。
 さあ、その死神の鎌を振り下ろしてくれ。

 僕は手に持ったグロック拳銃を、男達に向けた。
 ―― 優しい笑顔は、出来ているだろうか? ――

 右の男のショットガンが吼えた。
 放たれた弾丸は胸骨を折り、僕の体は宙を舞った。

 ああ、だけど。
 何だ、これは。
 何て事だ、信じられない。
 このエセ死神め!

 嘘吐きの部下は、やはり嘘吐きなのか。
 この後に及んで、偽りの弾を使うなんて。
 暴徒鎮圧用の『ゴム製スタン弾』を喰らった僕の意識は、壁に激突した所で暗闇に落ちた。


『真実』を背負った僕は、男の命を奪った。
『嘘』で固めた男は、僕の命を奪わなかった。
 正しいのはどちら?
 この時僕は、そんな事を考えもしなかった。

 ―――――――――――――――

 ……こんな感じです。
 3つか4つで終わる、予定です。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
はじめまして
はじめまして、よく参考にしています。これからも遊びにきますね。
【2008/10/24 12:50】 URL | hana #- [ 編集]


いつもと違った重厚な雰囲気ですなぁ。
続きが気になってしまいますぞ。
【2008/10/24 22:14】 URL | だいぶつ #gIYQI5Sw [ 編集]


 ううー、こんな途中なSSにコメント下さって、ありがとうです!

>hanaさん
はじめましてようこそ!
参考になる様な大層なものじゃないですよぅ(汗
何はともあれ、これからも遊びに来て下さいね!
コメント感謝です!


>だいぶつさん
気にしてくれてありがとうw
自分でもまだオチがまとまっていないんです…。
もし良かったら、次も読んでね。
ありがとう!
【2008/10/26 04:19】 URL | cvwith #- [ 編集]


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岡山に生息。
カレーは混ぜてから食べる派です。
「ひぐらしのなく頃に」の二次創作を中心に、ショートストーリー(SS)を書いています。
「うみねこ」もちらほらとやってます。
いずれオリジナルも書いてみたいと野望を持っております。

メアド : kdksf1@mail.goo.ne.jp
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